フスマに何かが、ぶつかって穴あきになった場合の簡易な補修例です。
これは鴨居の長押(なげし)にぶら下げていた
ハンガーが、直ぐ横の関連した出入口の引き違い建具の開閉時に
押されてフスマを突き破ったトラブルです。
袋状の太鼓貼りされたフスマ建具は
骨組みが無い部分は中が空洞なので、このように簡単に破れます。
その点、戸フスマ建具ならば下地には全面的に薄い合板が貼られているので
この様に簡単には破れにくい違いがあります。
しかし紙フスマと木製建具自体の重量が大きく異なります。
大切な場所や事態によれば、こんな一部の傷でも建具一枚では済まず
補修には四枚糸組みの全部で全面張り替えが必要となる事が有ります。
座敷間など建具が2~4枚で組合せの引き違い納まりになっている場合は
この一枚だけ張替えでは他の残り建具とは柄が合わず
一部の破れの解決は出来ても部屋全体の色違いなどの問題が残ります。
そこで一部だけ簡易補修をしておき後年に全体を張替えするまで
急がないなら一部だけの暫定処置が節約方法となります。
まずは破れた生地が残っている場合は、丁寧に表に引っ張り出し
再び接着して応急処置が可能です。
普通は下張りが必要ですが不要な名刺を裏に差込み
簡易下地を作るのも容易な方法の一つです。
差し込むのは、焦らず破れた表面の仕上材の襖紙と下張りなど
古い面の間に差し込みます。
一度は糊を付けずに試し入れて中に入る事を確認します。
まずは入れやすい方から半分ほど入れてみて反対の方に動かして
穴の上に橋渡しできるか?
試してみて可能なら差込テストした名刺を取り出すか?そのままで
事務用の普通糊を名刺表面の周辺に軽く塗りながら
差込していた反対がが出てきたら入れたら隠れてしまう端に
糊を塗り差し込み戻しして穴を塞ぎ橋渡しします。
それから軽く名刺の表面に糊を全体に塗り
破れていた仕上面のフスマ生地を軽く貼り付けます。
名刺の硬さだけが頼りなので強く押さえ過ぎると
下張り替りの名刺が陥没してしまいますので注意。
これが↑貼り戻しの状態です。
破れ跡が丸見えですが穴あきの、ままよりはマシです。
この後はドライヤーで表面を乾燥させると糊の水分が無くなりながら
接着が早まりフスマ紙の糊水分による膨張も収縮し、
かなりマシになります。
もっと良くするには名刺を入れる前に穴の中にある
空間の厚み、深さにピッタリの発砲スチロールなどを切って
中へバックアップ材として入れ込んでおけば
継ぎ目のデコボコを軽くローラーやヘラで押込えば
仕上がりが、もっと目立ちにくくなります。
くれぐれも強く押さえ過ぎないように注意。
発泡スチロールを入れていても、とても陥没しやすいので
ムリはしない方が賢明ですし、あくまでも応急処置です。
次の現場事例もお楽しみに。