いつ起きても不思議ではない地震で家具の転倒防止策の事例です。
外回りのブロック塀などは後の機会(3/3)に掲げますが、
まずはタンスなどの参考例です。
室内の家具類で家具本体を建物に直接、固定すると
倒れにくいですが中身が飛び出すのは
余計に激しくなる可能性は有ります。
建物の揺れと別々に揺れて離れたり付いたりと
横揺れの方向性によっては建物の壁面に固定しない方が
中身はユラユラと揺れて激しい揺れは吸収される事もあるはずです。
一番良いのは車の車輪と車体の間に付いている
ショックアブソーバーと言う衝撃、振幅の吸収部品を
付けるのがベストかと思いますが、これも揺れの方向性によって
効き目が違うはずなので全方向に取りつけると
大げさ過ぎてコストも高くつき過ぎて
実用的とは言えません。
それなら、しっかりした天井から家具の天場、中心部で
ワイヤーを吊るせば全方向で効果有ります。
グラグラ揺れても家具が倒れにくければ
下敷きにならない確率が高くワイヤー吊るしは現実的でので
今後、普及するかも知れません。
現在販売されている家具と天井との突っ張り方法は
普通の和室天井は素材自体が弱く裏に空間が有り上に逃げてしまい
突っ張り効果が期待できない場合が多いはずです。
今回は家具の天場にL型金物で壁面の下地位置を狙ってビス止めし
下の方はタンス内部から止める直止めめ案です。
固定位置付近に壁面内部に下地がある位置が解れば養生テープで印します。
家具の天場から上の内壁がクロス貼りの場合は
壁面内部の下地位置か?柱や間柱など構造物の位置も予測します。
壁面のクロス仕上げ表面を見るだけで下地のビスや釘頭の跡が
僅かな起伏や変色跡が一定のパターンや列の跡などで
下地位置や方向性が解る事も有ります。
タンスの天場にL型金物で内壁の下地が在りそうな所を狙って
固定する金物は下図の65㎜が便利です。
下地の位置が離れていれば長い金物を利用します。
ホームセンターやネット販売もされている一般的なモノです。
固定するビスはステンの太さ4㎜×長さは20~40~90㎜の間が多く
家具の見える所に突き抜けない長さや壁面のビスが効かないボードなどを通過し
下地まで届く長さで壁の構造により長さは変わります。
壁面、仕上げ面を拳でノックした打音で下地の有る位置と
無い空間音や感触でも解る事は多いです。
電子機器の壁下地発見センサーも昔から有りますが・・
あまりアテにはならず反応による正確性は60%程度かと思います。
やはり仕上げ面を拳でノックして打音で探るのが簡単で早いです。
後は電気のスイッチやコンセントのカバーなどを外して
壁の内部構造を部分的に見て壁全体の下地が有りそうな
構造や配置を推測する事も可能な事があります。
別の調べ策としては下地板が石膏ボードなら針の突き刺しテストは容易ですし
ビニルクロス仕上げなら針跡はあまり目立ちません。
建築用の下地探し用の針工具が無ければ
裁縫用の縫い針などの太い物でも代用出来ます。
安全ピンの針だけ曲げを延ばし代用しても長さが3㎝以上有れば使えます。
拳でノックの打音やセンサーなどで方向性が分かれば位置を忘れない為に
養生テープなどをクロス表面にピンポインの位置や方向性を示し仮貼りします。
タンスなど中が空洞で引出しなどが少ない場合は内部から壁面にビス止めすれば
上の段と下段が腰折れして転倒する事を防げぐ可能性があり
タンスの内部で要所付近で長ビス止めするのが有効です。
その場合は例えば②のタテ位置をスケールで測りタンスの内部で
本体の枠材が有る付近を狙い上下方向に斜めにビス用のバカ穴をあけてから
長ビスで壁面のクロスとボードを貫通して
下地材や柱か間柱の構造物を狙い捻じ込みます。
コースレッドビスの長さは140㎜前後が適合かも?。
絶対に注意すべきは壁面内部に電気配線や水道、ガス管などの
隠ぺいされた設備に衝突、破壊は避ける配慮や工夫が必要です。
下図はタンス内部のビス止め固定場面です。
壁面の下地位置付近をタンスの天場で測った位置を
タンス内部に記して穴あけしビス止めします。
ビス止めの抵抗感で下地に的中したか?外れたか?は体感や音で判断できます。
バカ穴あけの位置は深過ぎると効きませんし
離れ過ぎるとビスが下地に届きませんし、角度も大切です。
下図は家具の天場と内壁をステンレスL型金物を
ステンレスビスで固定しています。
壁面には上下に二ヶ所のビス穴が有りますが上より下たの方が
前に動くのは押えられます。
家具の天場に固定するのは二ヶ所のビス穴が有りますが
壁面側に近い穴は家具の枠材の端の方になり過ぎて揺れた時に枠の端が
千切れてしまい家具本体を引き付けておく応力が少ないです。
違う穴の位置でビスが家具本体の下地材が有りビスが効くなら
家具の外側より○印しの内寄りがビス一本だけでも有利です。
次の画像は食器棚などで上下が分かれて置いているだけの場合は
激しく揺れると頭だけ壁面にL型金物でビス止め固定していても
中間で腰折れ外れすると下部だけが離れる恐れが有ります。
そんな場合は下台の裏から上台の下地枠材を狙って
ビスで直結止めしておくと簡単には外れません。
この作業は下の引き出しなどを外して作業スペースを確保しないと
施工しにくい事が多くビスの固定相手と手前の枠をバカ穴で貫通する位置や
角度を推測するのがかなり難易度が高いです。
ヘタすると内部の見える所に突き抜けて見栄えが悪い傷になり失敗になり
裏の空洞に突き抜けてビス効かなかったりなど上手く行かない事があります。
食器棚などは上下に分かれており背中側から合わせ目が見える場合は
ジョイント金物でベタ繋ぎするのが上下の離れ防止と接続には簡単です。
やはりビスは長過ぎると見える所に突き抜け傷になりますので
長さは20㎜程度が抜けずにビスを効かせられる事が多いです。
ビス止めが面倒な場合はFRPのガラス繊維が入った
アルミテープを背中の継ぎ目に貼るだけでも
揺れで上下が簡単に離れる事は、かなり防げます。
表から見えない背中で建具などで隠れている場合は有効です。
下図は簡易な軽量木製仕切り棚を和室の土壁仕上げの化粧柱に固定する場合です。
和室の化粧柱には正面に釘やビスを直止めしてキズを付けるのは
基本的にしてはならないとされています。
下図は解りにくいですが真正面からではなく斜めからの角度で
固定ビスを柱と塗り壁の入り隅の僅か10㎜程度の狭いチリ際を狙って
木工用のキリでバカ穴を開けている場面です。
柱の正面や丸見えになる所に固定金物を付けたくない場合で転倒防止の
ビス止めを泣き泣き固定せざるを得ない場合は
柱の正面に傷付を避ける意味で柱の側面に10~15㎜ほどの
壁チリと言う面がありますので、そこをビス止めの位置にする例です。
これも僅かなスペース狙ってのビス止めなので穴あけの角度や
大きさがとてもシビアとなる作業です。
もっと容易で簡単な納まりやヤリ方が他に有るとは思いますが、
これは金物や別材を必要としない箱物取付では多用する例です。
施工費用に関わる技能レベルなどの分類では初級~中級程度の技量かと思います。
しかし隠蔽された危険な設備類に干渉するか?否か?の判断力や
リスク回避策の必要性を察知するのは高等な推察力が必要です。
そんな時には多能工・職の経験や基本ノウハウが当然ながら有利となります。
次は冷蔵庫の転倒防止策の現場事例を予定です。お楽しみに。