引き続き地震対策ですが、とても古いブロック塀の曖昧な対処例です。
古い建物で空き家になっている管理物件を
応急処置する事になりました。
ブロック塀がとても古く内部の鉄筋は酸化、膨張して
雨水が入り錆びて膨張。
冬場は侵入した水分が凍結膨張してなどの繰り返しで
ブロックが自己破壊しています。
表から見ると転びは解り難いですが・・
目地などの剥離で痛みが激しいです。
正面よりも横から見ると破壊は激しいです。
・・さすがに危険を感じます。
強い地震なら道路側に倒れて通行人が巻き添えになる恐れが有ります。
ここまでになると一刻も早く取り壊しが必要ですが
持ち主様の事情によりますと登記簿上や権利関係などの理由で
対処するには限界や制限が有るそうなので
現況を維持する事が無難との事で応急対策だけになりました。
一応、いかなる場合でも後の責任は持てませんとの
承諾を得てからの着手です。
固定方法は敷地内の建物外壁に引っ張り金物を直付けし
寸切りボルトで繋ぐ事にしました。
金物は羽子板ボルト用の部品を使用。
ブロック塀の方には平型プレートをブロックに二ヶ所、穴をあけて
M12ボルトで貫通します。
寸切りボルトの貫通だけ一ヶ所では、そのブロックだけ残り
他は倒壊する事になります。
このようにプレートを使い二ヶ所で幅広く引き付けても
・・十分とは言えません。
やはりそこだけ残り他はアウトで倒壊する可能性は高いです。
やはり全面撤去が安全ですが・・
どうしても出来ないとの事で仕方なし。
何も、しないよりはマシ程度の事です。
これでパックりと開き離れていた転びも、長ボルトで内側に引き付けると
かなり元の位置近くに戻り見た目は、かなりマシになりました。
同じ敷地内の別場所では大きな面積のブロック塀が
錆びた鉄筋が丸見えで立っています。
かなり前に無理やり出入り口確保のために壊したらしい所では
ここも平型プレート(短冊金物)で幅広くブロック塀に直止めして
二ヶ所ほどボルト止めします。
下図は少し離れた場所にも分散して二ヶ所を繋ぎ止めとしました。
かなり広い面積のブロック塀に、たかが二ヶ所だけでは、
まったく数が少ないですが最初の揺れで大きな転びになる瞬間だけでも
緩和されればとの僅かな期待です。
やはり何もしないよりはマシ程度です。
下図は建物の隅柱へコーチスクリュウーボルトを捻じ込んで
羽子板ボルト金物を固定しました。
それに寸切りボルトで繋ぎ倒れ防止です。
寸切りボルトには空き家ですが管理者が通る時に
頭を打つ恐れが有る為に目印として赤色で塗装。
最初はブロック塀の上部を持ち強く揺らすと動いていましたが
固定繋ぎをすると、さすがに揺れば止まりました。
別な懸念とすれば、今度は建物が大きな揺れになれば・・
ブロック塀も押されたり引っ張られて動かなくても良いのに
連結されているので建物の揺れを、当然のように
ブロック塀が共に揺れて影響を受けます。
それらが解っているので、やはり最初から全面撤去か?
せめて下の3段ほどは残し危険な上部4段は解体撤去し
軽いメッシュフェンスにする事も提案しましたが・・却下!
これで中途半端な対処ですが事情が有る現場ですので
暫定的な応急対策として終えます。
古いブロック塀なので多分50年ほどは経過しているはずです。
その間には、ある程度の強い地震を、このブロック塀は
何度か迎えているはずです。
それでも、なんとか立っています。
やはり横揺れの方向性と現場の弱点方向にズレが有り
まともに倒壊する外力を受けなかっただけだと思います。
しかし、いつまでも、そうは運良く続くとは限りませんので
危険性は引き続き残ります。
次は倒壊の恐れが有るブロック塀の解体と
フェンスに取替事例です。お楽しみに。