いよいよ最終段階ですが床を直す目的の現場調査途中で
建具の開閉困難が、著しい状態を偶然に発見。
多少の建付け不良は良く有る事ですが今回の不具合は、
あまりにも激しいので床下修理のついでに
解決する事を御提案しましたら、長年に渡り諦めていたとの事でした。
しかし、床下に入る、この機会に改善する事にしました。
まず四枚建ての引き違いが真正面の中心まで
建具が通過できず途中でストップします。
無理やり召し合わせ部分までキツキツでも寄せて
合わせ目を見ると上が大きく開き
柱側に付く戸尻の下方で両側が同じく大きく隙間が空いています。
上部の鴨居が下がって詰んで動かない原因が絡んで、いないのが、
せめてもの救いです。
真ん中の上が開き、両端の下が同じ開き状態は
建具四枚の転び方、判断では長年に渡り敷居が盛り上がってしまって
現れるトラブルの原因で見られる代表的な状況。
逆の隙間パターンになると敷居の中央が下がり気味となります。
これなら床下から下がりを突っ張り直せば簡単に解決します。
しかし、この件では逆でなので簡単ではありません。
床に寝て床や敷居のラインを目視すると・・・明らかな盛り上がり。
目で見ても敷居が中央付近↑で5~6㎜は、ムックリと曲がっています。
建具正面の隙間だけを目視しても建具サイズの縦長比と
隙間、上下の0~15㎜ほどの差を
判断すれば敷居の曲がり度合いは予測がつけれます。
こうなる原因は両端の柱に建物構造の荷重が掛かり
土台が、へたったり基礎や地盤が5~6㎜下がった現象です。
敷居の下が間仕切り基礎として強固に繋がっていれば
沈み込みを緩和できますが床下を見れば敷居の下は
布基礎では無く束石で飛び飛び受けとなっており
建物の負荷が地盤には掛からず中央付近は沈みません。
よって敷居の範囲全体は共に沈まずに取り残されて
浮いた形で敷居が盛り上がります。
ムックリ原因が、それだけならば・・束を取り換えるか
余分な長さを切れば解決します。
床下で直接敷居を受けているのは二本だけですが
周辺の二本も半分ほど下げないと全体が、しなやかに
戻りにくいはずなので最低4ヶ所は切断して下げます。
狭い床下ですが作業は、なんとか可能です。
こんな場合は、やはり手ノコ切断が無難で手加減しやすいのです。
手ノコの選択は、ちなみにゼットソー265(俗に言う9寸)が
大き過ぎず、小さ過ぎずでベスト。
最初はジャッキでいきなり浮かさず負荷がかかったまま
半分ほどは切り込みます。
その方が浮いてグラグラ状態よりは安定し切断しやすいです。
半分以上切れてノコが詰みそうになれば
ジャッキで浮かせて切り外します。
やはり最後は浮くのでグラツキが有り、
切り取り時の手加減は少し困難ですが、なんとかなります。
切り取るのが5~6㎜なので切り易いサイズです。
もっと薄いと逆に切りにくくなります。
色々な理由で切りにくい時は束材を無理やり外して
切り易い所で切断し床下に戻したり
全て取り去り鋼製束か樹脂の調整束で適合サイズをいれて
上げ下げ調整でも可能です。
この現場では現物を切断するのがトータル時間や
コストで優位と見て切断しました。
余談ですが・・
狭い床下に這入り不自由な体制で手ノコを使用し、
有る一定の精度と所要時間内で木材を切断するのは典型的なアナログ作業で
知識と技能の複合ノウハウ習得が必要となります。
経験と熟練による年季を必要とされそうで
一朝一夕には習得しにくい様に思えますが
しかし知識と技能も単体ピースそのモノに分解すれば、
すべて理解が容易になり単純です。
それが基本ノウハウとなり有益な対処策となります。
既存の束を切断しても長年のムクリ癖が床面に残っているので
鴨居から根太材程度の材木で突っ張り下げましたら下がってくれました。
あとは戸車で微調整しながら建て付け合わせで修正し転びは無くなり開閉も
スムーズになり中央付近で突っ張り動かなくなる不具合は解消しました。
やはり建具は軽く動き、締めた時には真ん中も柱側の戸尻も
ビタッと合えば日常の使用には気持ちの良い納まりとなります。
次の現場事例もお楽しみに。