前回は土壁下地の繊維壁に合板下地重ね張りでクロス仕上げでしたが
今回は土壁下地ではないラスボード下地にプラスター中塗り下地の場合です。
賃貸コーポの和室の壁が聚楽壁仕上げですが、やはり表面が劣化し
触るたびにポロポロと粉状になったり弱い処が剥がれ易くなります。
左官仕上げで塗り替えでのメンテナンスが主流でしたが
近年は塗装仕上げやクロス仕上げが多くなりました。
今回の工法例としては・・
現状の聚楽壁に直接、いきなり塗装やクロスで仕上げは早いです。
しかし・・ヘタすると表面仕上げ材の硬化、収縮と共に
元の仕上げ層が剥離して浮いて剥がれるリスクが有ります。
その為に施工前には下地処理としてシーラーなど浸透系の補強処理が必要となります。
それでも、さらに深い層のプラスター中塗り下地が安定せず持たない事があります。
柱のチリ廻りなどから離れて全体が浮いて全体が
剥がれてドサット落ちてくる危険もはらみ下地の根本的な耐久限界によります。
それならば・・4.5㎜合板で押さえ込み柱のチリ廻りから柱に向けて斜めにピン釘を打ち
壁下地全体が端から浮かないように下地押えを施すのが長持ち対策となります。
合板下地を張る前に木工用の白ボンドを要所に盛り上げ付けします。
ヘラで押さえつけてボンドを伸ばす塗り方では壁の起伏に対して追従しにくく
接着不良となりますので500gや1㎏入りなど専用容器のノズル先端から
厚みのある塗り方が必要です。
もちろん合板は先に切断、けずり合わせを行い大き過ぎず、周囲に突っ張らず
小さ過ぎずパテで埋まりきらないほどの大きな隙間は後で余計な手間が掛かります。
柱など周囲との隙間は1~3㎜以内は柱廻りのボンドで繋がりますので問題なし。
二枚組などで、もし削り過ぎて大きな隙間があくなら柱のチリ廻りではなく中央側に
隙間を置けばパテ処理が容易になります。
柱のチリ廻りはボンド塗りが必須ですが天井の廻り縁付近では絶対に必要です。
柱廻りは斜め釘打ちで下地合板の浮き押さえが効きますが
天井側の廻り縁の奥には木下地が無く釘類の斜め打ちは効きません。
合板の厚み4.5㎜巾と廻り縁との木材どうしで接着するのが頼りです。
プラスター壁下地に一時的に仮止めされる時間の間だけが
必要な接着時間となり手際よく進める必要があります。
コンセント廻りはなるべく丁寧に合板下地を切り抜きます。
電気、受け口の切抜は切断加工する前から
中途半端な位置に固定されていたなら面倒でも
適正な位置に修正してから切断位置を確定しておかないと
クロス仕上げの時や後で器具付け戻しの時に
少しでも位置を寄せて置けば良かったと・・後悔する事も有ります。
上の図では↑柱のチリ際で1㎝ほど合板を残すか?面倒なので切り取ってしまうか?
などの判断が曖昧の場合に後で器具の取付けて納まらない事が時々有ります。
その時の上手く行った時と失敗した時の実態の差を知っているか?否か?は重要です。
下図は↓片引き戸の裏側になる袖壁です。
ここは↑合板とクロスの重ね貼りで厚みが出過ぎると建具が当たり
後で納まらないリスクが有ります。
施工する前に十分に隙間が有る事を確認してからの実施が必要です。
開閉が無理なら別な対処が必要ですが、その対策は今回は省きます。
下図は↓エアコン室内機の貫通穴がある部分です。
合板には先に穴あけをしてクロスを貼る時は切り抜きせず
後で室内機を付けるか?不明なので、そのまま張り被せて塞いでも良いです。
穴の切抜は4.5㎜の合板ならサークルカッター↓で切抜が簡単です。
下図は↓配管穴の壁の内部拡大です。
上部の作業時には小脚立2本と2m程度の足場板があれば安全で効率よく施工が可能。
施工手順としては別に決まりは無いですが・・何度も繰り返すと
結果的には上部を先に終えてから下に移るのが作業スペースの確保や
疲労度や効率では有利となります。やってみれば・・解ります。
これでクロス張り用の合板下地重ね張りは完了です。
合板下地の直張りは手ノコでの壁のサイズや角度に合わせて
切断や手カンナで削り合わせなどアナログ知識と技能ばかりです。
電動工具よりは手道具の必要性は高く、まだまだ今後も続きます。
ここまでは大工工事の分野ですが、後のクロス工事の工程や
途中では電気部品の脱、着など色々な分野が絡みます。
作業効率や仕上がり精度、耐久性を考えて多能工・職が有利となります。
この後はパテ下地塗りの工程に進みます。
※クロス貼り施工には、このよう合板下地や
次のパテ下地によって仕上がりが左右されます。
続きのページも、お楽しみに。