築30年以上前に建てられたカラーベスト コロニアルの屋根は
屋根の傾斜を緩勾配で屋根形状をセンス良く見せる流行が有りました。
普通の瓦屋根は40/100以上の勾配が普通で、それよりさらに急勾配にするのは
威厳を保ったり屋根面積の超過でコスト増しを承知で拘りを主張する急勾配派と
逆を行く25/100以下の緩い勾配派は真逆のシンプルなデザインを好みました。
今でも同じように急勾配派と緩い勾配派は続いています。
そのデザイン違いに伴う各々の問題点は長年に渡り結果が鮮明になり
現在では、欠点に対しては、かなり納まりは改善されて来ています。
しかし現存する古い建物は問題を抱えたまま今後のメンテナンスに関わる事になります。
そんな時の現場調査や施工時には踏み割れに注意しなければなりません。
以下の画像は当方が塗装工事などを外注する時には、お世話になっていた塗装業者さんの
御客様で有った現場事例です。
色々な事で関わっていた頃に特に屋根からの無雨漏りが徐々に
状況悪化したために私共に相談を受けた頃の現場視察です。
すでに割れている所をコーキング補修してから
全体を何年か前に塗装した数年後の状態です。
調査の為に、この付近を、うっかり歩くと・・
踏み割れが増えるのは見て解ります。
割れている場所の位置全体で見渡すと下図のようにタルキ位置が予測できます。
普通のタルキ割りピッチは野地板素材の規格長さが6尺(1,820㎜)前後の使用が多く
タルキの間隔を5スパンで割ると約364㎜前後が一般的となります。
この下地ピッチなら上からの荷重受けも妥当で屋根仕舞い作業時での
屋根上や下への出入りにはタルキの間を身体が通過できます。
スパンが粗いピッチでは約450㎜前後も稀に有りますが
強度的には野地板の厚み次第で強度は不足気味となります。
この現場では・・どうも450㎜前後で粗いピッチの様子です。
どうしても上を歩く時は黄色の点線部分が
屋根下地のタルキ位置として構造材が有り、やや安全です。
それ以外のタワミになる間ばかりを歩き体重を掛けたり
脚立の脚を直接、置いて昇りおりで降りなど体重や負荷を掛けると・・
身体の位置次第では脚立の脚は4には点あっても1~2点の
集中荷重となり屋根を突き破り転落事故となります。
・・後はどうなるか?・・ご想像できるかと思います。
ちなみに・・この現場では塗装業者さんが外壁の塗装をする時に
単独の脚立足場で仮設、移動しながら外壁塗装している状態の時に
現実に脚立の脚が突き抜けたらしいです。
その時には幸い大怪我にはならず、
応急処置で屋根は補修で塞ぎ、この塗装仕上げで終えたらしいです。
その後に別な件も含めて当方に別の依頼も有り対応させて頂きました。
一部を解体して屋根下地を見ると
型枠パネルのような粗いピッチで縦桟木がある
枠組み工法の屋根下地でした。
野地板の厚みは9㎜の普通合板で
上の画像で黄色のラインを記したとおりの
粗いピッチ(約450㎜前後)のタルキ間隔でした。
とにかく勾配が20/100程度なので
流れ方向では雨水の切れが重ね部分では元々、悪いのです。
屋根の塗装を繰り返すたびに流れ方向の重ね代は
コーキングや塗装膜で塞がれて
年々、屋根のカラーベストの素材裏は湿気で最悪環境が続きます。
野地板合板の層は湿気で接着効果がなくなり
当然合板の接着層は剥離してフワフワになります。
冬場は室内の暖かい空気が屋根裏に上り
カラーベストは北面なら特に屋根裏は結露します。
その湿気も加わり野地板合板の接着効果を、さらに失わせ
下地合板は剥離してフワフワ状態が増します。
そんな状態の屋根上を稀に人が歩くと
カラーベストの素材は簡単に踏み割れします。
その結果が、このようになり、これが長年続くと、
雨漏りやヒビワレは、どうしようもなくなります。
流れ方向の重ね代が浮き隙間が目立てば心配で
コーキングや塗膜で埋めてしまうことになりやすく・・
中に侵入した雨水や湿気は外に抜けられず中に溜まり、さらに悪化します。
ここまでになれば屋根の葺き替えか?上から被せるカバー工法が必要となります。
※似たような事で一文字や横葺き板金などでも、これと同じ現象が有りますし
古いカラーベストでの塗装の仕方では多少の打開策例も
次のページで掲げてみたいと思います。
次の事例もお楽しみに。