押入れの床板がフワフワして今にも抜けそうで
合板を張替えする事例です。
まずは(前半)です。
和室の一間幅で襖二枚の引き違いで定番の和風作りの押入れです。
まずは襖を外しますが・・これが簡単に外れない事も有ります。
高さが詰んで容易に外れない時は上に持ち上げ気味にして
下部を足で押さえていながら真ん中、辺りを
外に引っ張りながら破損しない程度に配慮しながら湾曲すれば
襖の骨や外枠が折れて破損するギリギリ直前で外す事も可能。
それでもダメな時はシキイと鴨居の中間付近で
突っ張り棒かジャッキアップして開口部の中間を少し広げて外します。
本番の床の張替え以前に、この最初の段階で
建具が外れずにお手上げになる可能性も有ります。
この場合の分かれ道は建具の真ん中で突っ張って
建具が、まったく動かないなどは・・これも分かれ道が有ります。
上の鴨居が垂れ下がっているのか?
または敷居の中央辺りが盛り上がっているのか?
で対処が大きく異なります。
※それは本題とは別の展開となりますので別の機会に掲げます。
建具が外れたら作業用の養生を施してから解体の準備となります。
外した後の状況では⇩地盤からの湿気で影響を受けた跡が伺えます。
近年では押入れの中に湿気吸収できるグッズが有りますので入れておけば
こうはなりません。そのグッズ容器には一年で
コップ半分ほどの水が溜まるのは普通です。
傷んだ床合板は接着層が剥離しているのでウッカリ乗って体重を掛けると
根太木材との間は簡単に床が突き抜け転落します。
壁面の合板にも白いカビが付着しています。
この白いカビを水洗いしたくなりますが・・危険です。
既存合板を再利用できる程度に見えても
ヘタに水洗いをすると表面はきれいになりますが
合板内部の接着層が水分で分離し急に剥離が増して
なんともなかった所までもが剥がれて浮いてきます。
昔の押入れ床板は、ほとんどがこのように耐水てはない
タイプ②の普通合板です。
耐水合板を使用すると材料コストが割り増しだったり
接着成分の匂いが寝具に付着して異臭がしやすいです。
昔の有害接着成分の規制が無かった耐水合板は
使用後は目がヒリヒリするほどで空気中の環境は劣悪でした。
ゆえに耐水合板は避けていた時代の背景がありました。
今では耐水合板でも環境規制に合格した☆4タイプ品の推奨などで
安全性が増し湿気対策の素材や二重張り工法などで改善されました。
剥離した床合板は簡単にポロポロと捲れて剥がれます。
剥がした後は奥に根太との中間下地が有りません。
これは・・押入れなので人が歩く所とは違い不要な手間と
下地は必要が無いとの判断と
それでも必要と思う意見に分かれるなど、好みの違いとなります。
この現場では床と壁際に雑巾ズレと呼ばれる
隙間防止の寄せブチなどの部材を省略しています。
よって、中間の下地根太は必要なしとの理由ともなります。
これも雑巾ズレを好んで用いる人と、
ダサイので合板をピッタリ削り合わす納まりに分かれます。
やはり人の好み次第です。
雑巾ズレを用いた場合は釘で止める時の下地が
厚さが5.5㎜床合板の場合は薄いので必要となります。
この補修には後から雑巾ズレを取付予定なので
床の根太と根太の間には切り込む下地を途中で付けます。
その前に残った壁面合板の白いカビ汚れは
先にペーパーで削り落とし掃除をします。
くれぐれも、うっかり水洗いはしない方が良いです。
雑巾の拭き取りした方が早くてきれいになりそうですが・・
水分を古い合板が吸収すると、辛うじて持ち応えている接着層が
一気に劣化し剥離して、さらに浮き始めます。
よって乾式工法で既存の合板は、そのまま使えそうな状態なら
温存するために水洗いはしません。
下図は乾式工法でペーパー掛け掃除した場合の後と前の違いです。
明らかにカビ落としの結果が異なります。
表面に残った粉を掃除機など吸い取り除去します。
その後・・うっかり雑巾で水拭きをして取りたくなりますが厳禁。
こんな工程は大工さんに頼んでも、その人によれば
面倒くさがって、やってくれなかったり
そこまでするなら壁面も合板を新しい物に張り替えた方がよいはず!
・・と、たぶん請け合ってくれない事も多いです。
もっともと言える事ですが・・この辺りが曖昧なグレーゾーンで
御客様や関係する施工者などの価値観や好み次第で分かれます。
この壁面合板の汚れをどうするか?の別な対処策としては
別途追加費用で新しい4㎜合板を、せめて下段だけでも
既存を剥がさなくても良い程度の傷み方だけなら
上に重ね張りするのも有りです。
大工専門業務と雑務エリアに関わる多能工・職の分野とも言えます。
よって自宅で自力対処の場合は進んで掃除の手間は惜しまないでしょうから
業者に頼んでも嫌がれたり手抜きされやすい場合との違いが生じます。
※次は後半の工程に進みます。
次の続編もお楽しみに。