ご高齢の方が寝室からトイレに行く途中に20㎝ほどの段差が有ります。
足が不自由になったので四点支持の杖が必要で上がり降りが困難になりました。
御客様が、お世話になっている福祉関係の取り扱い品目では
現場にふさわしいサイズと納まりの物が無く、段差解消の為に踏台を作ります。
しかも出入り口は狭い巾のアルミ製の方開きドアなので開けても
ドアの取っ手、飛び出しなどが邪魔なので後で二次工事として片引き戸に改造します。
まずは日常生活が困難で転倒リスクを解決し早く間に合わす為に先に制作します。
介護保険適用のスロープも検討しましたが傾斜条件は1/12の比率なので
段差20㎝を傾斜する長さは2.4m必要で途中に別角度の出入り通路と絡むために
新たな段差が生じる事になり、それに対して別な段差スロープを設けると
余計な障害物が増えますので現実的ではないのと御客様は判断されました。
申請から実施まで日数が掛かりすぎで、その間に転倒事故が起きれば重大な事になります。
手続きや必要期間などの諸問題では、このように介護保険が現実に合わない事が有ります。
まずは枠作りですが10㎝の高さなので規格製材の杉一等90×30の間柱を使用。
節の少ない面を見付け側に使用し表面は簡単にペーパー掛けで仕上げます。
それを必要な長さにスライド丸ノコで切断。
コストは最低限の組み方で必要な耐久性を持たす納まりです。
後ろはまったく見えず、両側面は見えない事も無いですが丸見えではない条件なので
簡易な組み方と接合方法としました。
真正面だけは見付け側なので正面からのビスや釘止めはせずに
下や床板で隠れる上からなど斜めにビス止めしますと、まったく見えません。
しかし斜め角度によるビスの角が多少、出ますので切断砥石で出た部分を削り取ります。
ビス頭の斜め飛び出しを削れば床に置いた時に傷が付かず
天板にフロアーパネルを張る時も邪魔にならずスムーズに施工できます。
もちろん突き付け部分には木工用の白ボンドで接着します。
天板は標準的なフロアーパネルを二枚組で長さと巾落としで組合せ。
最低限のコストで簡易な根太組みなので接着は必要。
フィニッシュ釘だけでは後からギシギシ音鳴りします。
正面の角にはノンスリップのソフトタイプを取付で安全に配慮。
側面はほとんど見えませんが、丁寧に仕口を作るなら
大留めで45度の切断突合せならコグチが見えなくなります。
当然、内側には三角の補強当て板部材を接着すれば強度的には大丈夫ですが
この現場では、ほとんど側面は見えないので、そこまで手間は掛けません。
下図は↓現場で取付前の裏側です。
既存の床に置き後で片引き戸に改造するまでビス止めしないので
両面テープ接着の臨時止め程度。
一応、日常で段差を解消する為に安全策を優先で取付しました。
試しに使用して頂くと・・とても上がり降りしやすくなったと好評でした。
この後はドアの出っ張りが邪魔らしいので片引き戸に改造予定です。
開口部が狭い出入口のアルミドアの建具です。
ドアの厚みと取っ手ノブが約6センチほど飛び出して
開口部の内寸法から内側に11㎝ほど狭くなっています。
片引き戸に改造は踏台のように簡単には行きません。
既存のコンセントや壁のスイッチ位置などの移変も伴います。
※次は多能工・職が必要で施工する者にとっても興味深い内容となります。
次に進む事例もお楽しみに。