玄関先のポーチ柱の根元が腐食して、とても心配だと
修理の御希望への対処事例です。
元々、外部で雨ざらしになり易く水腐れになり易い部分です。
見た目には解りにくいですが中がスカスカです。
手で強く押すとボキッと壊れそうな傷み方で限界を越しています。
取り合えず補助柱でジャッキアップして玄関屋根が
落ちないように仮受けが必要。
軽い屋根なので袖には、しっかりしたルーバー格子が
生きているので、それをジャッキで受けます。
止めていたボルトは錆びてボロボロなので↑簡単に外れます。
ジャッキアップさせると柱の根元は浮きますので安心して
腐食部分を除去して空洞範囲を調べます。
柱の薄皮が残り、中が空洞部分にホルソーで穴開けして
ゴミの取り出しなどの為に作業口を準備。
50㎜のホルソーが↑丁度良い大きさです。
その穴に掃除機のホースを突っ込み↑腐食ゴミを吸い取ります。
柱の中を曲がった金物の工具で掻き取り腐食範囲は落とし
ゴミは吸い取り除去します。
まだ生きている木部は残しモルタル詰込みの接続しやすい部分まで
取り去り外側の生きている表面は型枠代わりに残すのが合理的です。
根元を切断して単に継ぐのは強度的に色々な問題や手間を掛けて
継ぎ方を工夫する必要も有り意見が分けれる所です。
お寺や古民家など文化財系で柱根の継ぎには追っ掛け仕口などが
有りますが一般住宅で、そんなコストを掛けるのは特例かと思いますし
御客様の好みと予算、次第かとも思います。
柱の根元が腐食して欠損した空洞には防虫、防腐処置をしてから
モルタル詰込みで補強し2~3日待ちます。
モルタル補強の後は柱根元に巻き付けるステンレス板金の
曲げ加工をします。
板金は昔なら銅板が当たり前でしたが最近では銅板でも酸化して
穴あきになるのが判明したのでステンレスが長持しそうです。
切断にはテスキーと呼ばれるタテ切りハサミが相応しく便利です。
厚みが0.3~0.4㎜程度のステンレス板なら問題なく切断加工でき、
曲げも容易で色々な場面で活用します。
折り曲げ方には基本ノウハウが有り、ある程度のパターンと
回数を体験するとコツが解ります。
色々な折り曲げ結果を失敗や上手く行く過程を一旦、経験し
重要な感触を得ると体で習得できます。
五感で得たノウハウは生涯、記憶に残り、様々な場面で
多様性の有る売りネタ、提供レパートリーとして活用できます。
この成果と魅力が意外に大きく多能工・職として関わる時に
自分自身で感じる醍醐味の一部と言えます。
事前にステンレスを加工した物を、いよいよ現場で取付します。
当然ですが採寸ミスで加工サイズを間違えていたらアウトです。
何とか合いましたのでシリコンコーキングで接着して
裏側でハゼ継してから化粧釘で止めます。
上の端は雨水が染込まないようにシリコンコーキングします。
向かって右の仕上げ。
新しいステンレスボルトはモルタル打設の時から仕込んで置き
後から穴あけしなくても良いバカ穴になるような工夫をしています。
反対側の左も同じくスッキリしました。
裏側のハゼ折り曲げ継ぎ↓こんな感じの納まり。
これで予定通り補修が完了しました。
ステンレスのピカピカが印象良っかたのでしょうか?
御客様は、とても喜ばれました。
ここは光らないヘアーラインか?
渋い銅板の酸化させた古いイメージで仕上げか?
好みの分かれる所です。
余談ですが・・
日曜日のテレビ番組で見ましたが皇室の秘宝奇跡のプロジェクトで
五年を費やして関東大震災で中止しそうになった
献上制作の番組では、ものすごい技能の緻密な作品ばかり。
日本国内で最高と云われる様々な専門職での
作者の紹介が有りましたが・・これは、さすがに
多能工・職で絡む訳にはいかない非常に奥深い芸術作品が
結集した内容でした。
これらが結集して一つの飾り棚や屏風などにまとめられ
国宝級のモノ作りに挑む番組には感動しました。
まさに一道(一芸)に挑む姿はさすがです。
※本題に戻ります。
しかし私の好みは・・
(あれか?これか?で絞るよりは・・あれも!これも!の派)(^_^;)
最初は邪道らしい懸念が長年に渡り有りましたが
色々な文献により最近は、これを崇拝しております。