前ページからの続きです。
御客様や関係者と綿密な説明と打合せや外注など各種発注手配も終えて、
いよいよ施工の着手となります。
解体を始めて、すぐに建物の構造が明らかになりました。
間仕切りは簡単なパネルですが大量生産の規格物か?
現場での造り付けなのか?不明。
とても簡易な作りでした。
この構造なら間仕切り壁が耐震的に有効だったとは思えないほど
簡素な物でした。
当然、必要の無い所に余計な部材を使用するのは不経済でも有り
省く意味はあります。
しかし・・こんなに簡素で良いのか?。疑問が残ります。
下図は編集加工で斜め端がカットされています。
面材は薄い壁下地用の合板であり、構造用合板ではありません。
耐震ブレスや現場切り込みの筋違材などは、まったくありません。
二階の床組構造は軽量鋼の梁と木材の混合で在来工法では無く
プレハブでも無く。
ツーバイフォーもどき?
一番、驚いたのは・・↓梁の一部に大きな欠損、有り。
なんの為? ↑ 配管や配線の為でも無く。
梁の中間近くなので上部付近ならまだしも大切な梁の下場に
1/3以上の欠き込み欠損。
それも長さが長い。
梁の背の高さは応力的には残った高さのサイズしか無いモノと同じ。
せめて片側に添え木で補強していれば
言い訳は立つかも知れませんが、・・(言葉が出ない)
それでも許されないでしょう。
もしかして天井を張るのに釘終いが出来ないので
梁を切り欠いたとしたら・・(冗談では、すみませんッ!)
何度みても不可解な切り欠き。
これは御客様へ報告するには気の毒な内容ですが・・
こんな事が無くても間仕切り壁を撤去して柱を抜けばその位置に
梁の補強が必要な事は承知していました。
しかし・・久し振りに同業者としては許せる範囲を逸脱した
反面業者の大失敗の素に遭遇しました。
その間仕切りの上は二階の床下で荷重はしれています。
むしろ、この欠損されキズ付いた梁こそ負荷が掛かっています。
当時、この施工を手掛けた本人様に理由を聞かせて頂きたい納まり跡。
外壁周りの壁面も、まったく耐震部材が無し。
解体した間仕切り壁は構造間仕切りではなく単なる部屋境だったので
耐震は無視したとしても、この外壁構造は耐震策は必要なはず。
もしかすると・・この建物は筋カイやプレスはまったく無いのか?
本格的なツーバイフォーなら厚みのある、しっかりした面材を
両面張りの壁構造なら納得ですが・・
そうでも無いし。
ふと、御客様が常におっしゃっていた言葉が蘇ります。
・・「この家は、とにかく良く揺れるんだ。」
二階の床組と一階下屋のツナギ梁も無し!・・
とにかく揺れやすいのは当然です。
屋根タルキで繋いでいるからと言っても中間には水平のツナギが
一本くらいは必要。
その続きとなる押し入れの上部の頭受け梁もまったく無し。
吊り束は二階の床根太に仮ツナギのように一応、固定はされていますが
・・かなり簡素に見える。
二階の床ネダも太さのわりにピッチが粗い。
床板は12mm程度で厚くは無いのに。
御客様に後から聞いた話では建てた業者は、すぐに
倒産したらしいとの事。
それを、お聞きしてから、なんとなく納得。
・・と言うか・・当然の結果。
もちろん自然淘汰ではなく・・社会市場の摂理による掟を受けた!
と言えます。
・・が他人事とはせずに自らを戒める事にもなります。(^_^;)
次に続く。