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長押の納まり観察

先ほどの和室天井を張替えした部屋には長押が付いていました。

天井張替をしながら他人の仕事は、それとなく気になり

観察する事になります。

長押の納まりと云えばメインは床柱のヒナ留め仕口。

ここがピッタリ付いているか?

裏はどんな仕口をしているか?

単板の張り合わせ?・横アリ組・縦片アリ組?・・など。

下図の4面は撮影角度が悪かったために編集加工で

斜め端がカットされています。

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留めの付きや入れ込みに大きな隙は無いので、普通。

組方は上から覗いても不明でした。

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多分、接着のみと思いますが気になるのは入れ込み位置が

半分の手前過ぎではないか?

普通は床柱の芯を過ぎて2/3程度の位置が多い気がしますが

・・その理由など真意は不明。

 

又は丸太など巾が曖昧な床柱でも部屋の柱巾の芯から1寸出す

・・とか柱巾の外ツラから1寸返り・・とか
 

何れにしても床柱の半分以上通過して止めるのが

多いようなはずですが・・デザイン・意匠の違いと言えばそれまで!

 

もしかすると・・床柱の前面を部屋側に出し過ぎて

前面が出過ぎてしまい欠き込みよりも沈み込み被ってしまうので

手前で止めたのか?・・又は、これで普通なのか?

・・解りません。(^_^;)
 

余談ですが上から見る長押の裏側の奥は、どこの家でも、

このように、とても曖昧な納まりです。

塗り壁の塗り残しなど隙間だらけでゴキブリや小さなネズミや

コウモリなどは簡単に出入りします。

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土壁下地やラスボード下地で左官仕上の場合は、

ほとんど、こんな事になります。

この場所は部屋から目線の上となりイスを使わない限り

直接は見れないので隙間は色々な隠し場所にもなります。
 

次に床の間の左側付近で、場合によば書院が付く所ですが、

長押と落しかけの間隔、高さが注目の部分。

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この位置は長押の天場から落し掛けの間の寸法は柱の巾一丁か?

一丁半など・・材巾の比率を多用するらしい所。
 

別の高さ決め条件として、よく言われるのが

奥の掛け軸の上が畳の三尺付近の畳の縁に座り

斜めに見通して掛け軸の上の方が見えるのが

落し掛けの下場の奥側の角が高さとか・・聞いています。

茶室などは特に高さには床の間や色々な場所では納まりや

サイズには色々な決まりが有るようです。
 

私は全く、その辺の事は知りませんし、出来ません。

 

しかし・・この現場では落し欠けの高さが低過ぎる気がします。

 

やはり、これも意見が分かれる所でしょうね。
 

長押の止まり位置に関しては床の間との境目で、

この部分は書院納まりではないので巻込まずに、
この位置付近で止めるのは良く有るパターン。

 

私が習った西日本の、ある地域での呼び名では

(まくら裁き)と言っていました。

※注釈

最近ではネット検索で調べる事で正式らしい情報を

知る事が出来ました。以下建築用語辞典からの抜粋です。

枕捌(まくらさばき)
長押と床柱との取合部の納め方で、床柱の三面の角を留にして
長押を巻き込んだ納め方。
巻裏捌(まきうらさばき)とも呼ばれ、
書院造りの座敷に用いられていた厳格な納め方です。
また、枕捌の他に、二面だけ回すものを片捌(かたさばき)、
床柱の正面だけに長押を取り付ける雛留(ひなどめ)がある。

この説明によると私を含めて当時の関係者は良く分からずに

(まくらさばき)は書院側の柱への仕口を言い床柱は(ヒナ止め)

と別々に言い表して間違えた解釈を長年していました。

このブログの再編集の機会に調べて今更、気付きました。(^_^;)

 ※本題に戻ります。

普通はこのように柱の外ツラから五分(約15㎜)返りが多いです。

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コグチもブツ切りですが水を付けて湿してから

カンナ削りで良いと言われています。

 

凝る人なら、ここも簡単に大留めの薄板張り仕上にするのかも?

・・しかし、それは一度も見た事なし!。

和室の納まりは家その物のグレードに合わせると言われています。

 

※余談ですが

他の現場で本家普請となれば縁側と書院が付けば

この位置から柱を廻り書院の中へ長押が廻り込み

伸びて行きますので、それは(まくらさばき)と呼べますが

 床柱では無い普通の柱なので、呼び方がどうなのか?。

それは本家普請を専門に関わる方に御任せで

多能工・職の汎用領域を専門とする者の立場とすれば

深入りする必要のない未知の領域となります。(^_^;)

※本題に戻ります。

 

しかし雨洩りの屋根納まりを見れば・・
建物それぞれの事情によるグレードで様々な結果となるでしょう。
 

もう、これから将来的には、このように床柱や

長押や二重廻り縁などの仕様は絶滅危惧種かも知れません。

 

以上で長押納まりの観察は終わります。