浴室の洗い場、床排水金物の取替え事例です。
古い排水金物の本体が経年劣化でボロボロになっていました。
急激に変化せず何十年もかけて少しづつ壊れます。
ほぼ毎日、使っている浴室ですが見慣れ過ぎて、
ここまで壊れても途中では気が付きにくいのです。
そして見た目ではワントラップのカバーが被さっており
それを外さないと中の状態は上からは見えにくいのです。
ボロボロ部分は簡単に取れてしまい
古い本体は経年劣化でこのようになります。
本来は水が溜まり上のオワンが逆さまにかぶり防臭、防虫の為に水溜りになる所が
スカスカです。汚れた排水は浴室洗い場の地盤に吸い込まれます。
知らないうちに徐々に漏れは多くなり、どんどん増えますし、
それが何十年も続きます。
取替え用の部品はサイズや納まり状態は事前に調べて適合タイプを調達します。
主な調べ所としては・・直径が75㎜なのか?100㎜なのか?それ以外か?
そして深型なのか?浅型なのか?それ以外か?
さらに接続されている排水配管の直径は50㎜か?65㎜か?それ以外か?
材質はクロームメッキか?ステンレスか?それ以外か?
丸形か?角型か?それ以外か?・・と、ざっと5種で総計15例からの判断。
今回の現場は傷みやすいクロームメッキだったのでステンレスの
100㎜丸形の浅型で排水接続はVU50~65用を用意しました。
価格はアマゾンで¥1,550~高い店で¥3,300ほどの違いが有ります。
浅型より深型の方が排水溜りが深く水圧が多く排水時の水の切れが良いです。
但し取替えの場合は下地コンクリートや配管の位置関係で
深型が入らないアクシデントになる場合も有り同じ深さが賢明。
解体の仕方は慎重に進めます。
廻りのタイルを余計に壊さないように・・
ゴミや破損クズを排水管の中に落とし込まないように。
いよいよ本体を壊して撤去します。
まずは排水管の中にゴミ受け用のウエスを入れ込んでおきますが、これは鉄則です。
施工時の関係者同士で配慮差の優劣が付くのは、こんな動作を忘れずに行えるか?否か?です。
それが重要な理由を色々と語る事が出来ないと、たぶん必要性が解らないと思います。
たった、これだけの対処の違いだけで、後から排水詰まりのトラブルに発展し
浴槽入れ替えやタイル張替えなどの弁償で何十万円の大損害となり
信用もガタ落ちとなり御客様に大迷惑をお掛けしてしまうのです。
そして請け負った責任側には多大な損害となります。
それが、モロに自分自身に損益の影響が及ぶか?及ばないか?責任を問われないか?
など立場上の違いで大きく異なります。
古い物ですがアルミダイキャスト合金らしく簡単にスッポリは抜けませんので
一部分をドリルで穴を数か所あけてからマイナスドライバーなどを叩き込んで
割りながら徐々に本体の一部を分断していきます。
叩き方はこまめに注意しながらタイルに影響がない方向で打撃や振動を加えます。
この場合は横よりも縦方向の下に向けてドライバーの衝撃を加えれば大丈夫でした。
こんな感じで破断されました。
デスググラインターの切断砥石で切っても良いですが、
こちらの方が早い時もあります。
一部が分離すればガタガタ、グラグラになりやすく後は容易にスッポリと取れます。
デスクグラインダーでの切断砥石は直径10㎝ほど有り大き過ぎて
タイルに傷が入ったり切断スペースが狭過ぎて困難となります。
むしろハンドグラインダーに妥当な粗い研磨砥石を付けて要所を削ったり
セパーソーなどで埋設配管などを切断しないように注意の上で一部切断など
工具の選択と作業要領が外す為の大きなカギとなります。
後は廻りの余計なモルタルクズをかきとります。
この時もタイルを不用意に壊さない事ですが、やはり当たりやすく壊れやすいので
一部が取れてしまったら破片は補修の時に埋め戻しますので大切にとっておきます。
試しに入れ込みテストしてみて目地セメントの入り代を確かめます。
この状態↓ではダメです。一部分が・・きつ過ぎます。
余分な土やモルタルクズを取り去って排水金物の本体が
十分に入るほどに取り去ります。
サイズが前のタイプより少し大きめなのでタイルが一部、当たりました。
ダイヤモンド砥石などをドリルに付けてタイルのコグチを
研磨しながら穴を拡張します。
タイルが振動で剥がれましたが、この程度は予測の範囲なので問題なし。
排水金物本体はスッポリ入りました。タイルと密着しているよりも
タイル目地の巾として3㎜前後の隙間が有る方が望ましいです。
ピッタリついてしまうと目地セメントの厚みが薄過ぎて後から簡単に剥がれます。
そして水洗い、掃除をして↑入れ込み穴の準備は完了。
白セメント系など仕上げ材を塗り込む前には土汚れなどは
必ず先に水洗いしておきます。これは鉄則の基本ノウハウでもあります。
次は目地セメントのネタ練りです。
これは白セメントだけの単品とは異なり各種素材が配合されたパウダー状です。
最初は、とても練りにくいです。
パウダー状なので水から分離して離れ気味で、なかなか混ざりません。
これも基本ノウハウとして各種の場面では共通現象として定番化されています。
固練りから徐々に水分を浸透させていきネタの中で揉み込むような練り方が必要です。
空混ぜではなく押さえ込み混ぜのような感じです。
これはイナメジのG-1を使用しています。使い勝手は良いです。
最終的にはスポンジコテで入れ込んだり均したりするので
混ぜる時も少量ならこれで十分。
硬さはマーガリンとバターの中間ぐらいと言ったところかと思います。
ホイップクリームの固い物・・などかも知れません。
この辺りが文面や理屈だけでは把握できない所で体感でないと解りにくい事例です。
攪拌スクリューを電気ドリルに付けて電動で初期攪拌する方が早い時もあります。
混ぜる時と使用する時には微妙な時間経過による化学反応の変化などで
早過ぎても遅過ぎても合う・・合わない・・のタイミングが有ります。
これも実践による体感としか言いようがない基本ノウハウです。
まずは先に穴の周辺に塗り付けておきます。
排水金物を入れてからでは入りにくいです。
少し多めに塗り付けて置きます。スカスカはダメです。
やはり練り加減、硬さ加減が作業性を大きく左右させます。
柔らか過ぎると本体が動きますし固過ぎても
タイル目地が不安定で剥がれ易くなります。
穴の隙間などに目地セメント材が逃げますので多めに押え塗りします。
あまり時間を置き過ぎないように、すみやかに排水金物を入れ込んで安定させます。
そして盛り上がったり余った目地セメントのネタはスポンジコテで押え均し。
余った目地セメントはスポンジコテで拭い取りしながら目地表面を均一に均します。
この時は目地セメント材料が伸びてくれて落ち着いてくれる手ごたえが決め手です。
やはり、やった事が無い方には、いくら説明しても動画を見ても手応えは感じません。
実体験での体感による把握は大きな確かな確信として心身に残り生涯、使えます。
5~10分ほどで落ち着きますので量が少なく引っ込んだ所は
足しながら均し仕上げします。
この辺りは素材の変化と使い手である人間と材料と時間差での駆け引きとなります。
こんな事は今、流行のAIには困難なアナログ感覚での
シンプルな作業そのモノの善さです。
早過ぎず・・遅過ぎずの頃合いを見てスポンジに水を含ませ余分な目地セメントを
拭き取りながら水洗いしていきます。
この時のコツはタイル表面の目地セメントの溶液を拭き取るのがメインで
目地の中が適量なら余計に削りとったり粗してはダメです。
この辺りも文面では限界で、やはり体感が必要です。
そして最後の仕上げとしてタイル表面の水分が無くなったら
表面を空葺きして艶出しをします。
急ぎの場合ならタイル表面だけドライヤーで強制乾燥させてから布で乾拭きします。
この後、約一日ほどすれば水を流しても良い状態となります。
排水金物の本体がスッキリしました。これで衛生上も良くなりました。
この現場では本体の高さが同じ納まりでしたので既存の排水管を切らずに終えました。
時々、既存の配管を切りにくい途中で切断したり
長さ不足の場合は継ぎ足したりが有ります。
この現場では、ほぼスンナリと納まりました。
この程度でしたら自力で可能でも有り、難しくも有りの微妙な処です。
現場によっては別の何かリスクが潜む場合も有ります。
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