前ページからの続きです。
既存の内壁タイルは在来工法のタイルでダンゴ張り工法です。
下からの積み上げで下地の出入りが10~30㎜程度の変化が有っても
モルタルの付け代で張り付けが可能なとても合理的な工法だと思います。
しかし大量のセメント粉末を、ふりかけながら瞬時に厚付けモルタルを
硬化、安定させ積み上げて行く為にセメントの効きが薄い所と
多過ぎる所がバラバラで効きの薄い所は強度が無く、効き過ぎている所は
収縮が激しく自滅破壊して、ひび割れなどが出ます。
外部など、水の掛かり度合いが多いとアルカリ成分・石灰性分などの
白い凝固物の垂れヨゴレが出ます。
白化現象とかエフロレッセンスと言われるセメント系では
御馴染の欠点です。
やはりモルタルの厚付け、薄付けと硬化、調整用で振りかける
セメント粉量の違いなどが原因で何年か後には
表面上に不陸の歪みが出ます。
それは、ほとんどがフクレ勝手で変化します。
全体の中央部分が膨らんだり端の方が浮いて離れ反り出して
中央付近が引っ込んでいるように見える場合もあります。
おそらくセメント粉末のアルカリ?か石灰性分などの余分な
凝固成分などが増えて膨張しているのかも知れません。
現在なら既存タイルに樹脂ボンドを下塗りすれば不陸と
接着不良を回避できる、とても良い重ね張り専用の
下地調整材が有りますので、表面上での接着条件に関しては、
かなり信頼性は高まったと思います。
本題に戻り重ね張りしたタイルが激しく出入りしている部分は
剥がして手直しします。
時間が少し経過しても無理やり剥がせば、こんな状態です。
エポキシ接着剤の効果のほどは、かなり有効であるのが解ります。
そして御客様の意向で柄物タイルのパターンを
もっと増やしてほしいとの変更依頼が途中で有りましたので、
その部分も剥がすと同じく接着効果の良さが
剥がした跡形で、はっきり伺えます。
下図の二枚は編集加工で斜め端がカットされています。
これなら一度、接着すれば簡単には剥がれ無いようです。
後は長年の経過後に接着部分が永久硬化で自滅破壊してしまうのか?
否か?の問題が残りますが施工責任としては実際の耐久年数は
不明なので20年以上持ち応えてくれれば、有りがたいですが
経過を待つしかありません。
窓廻りは、こんな感じとなりました。
※色合いの違いは照明と編集加工の都合です。
出隅部分で被り勝手の方は片面取りの役物を使用し
コーナの角を面取り仕様にします。
どちらが被り勝手になるか?が出隅コーナーの決め所ですが、
これも理想の納まりとタイルの割り合せによる条件で
被り勝手が意に沿わない場合も有ります。
条件次第でケースバイケースとなる所です。
上側の部分に下から張り付けるのは接着剤系では、粘着力による
安定性で、ほとんど問題無く張れます。
心配で有れば養生テープで仮止めしたり後から突っ張り棒で
仮押えしておけば良いですが、押え付けて余分な厚みの接着剤を
広げてしまえば、ほとんど何もせず安定します。
接着剤の不用な厚付けはダレて落ちやすくなります。
余談ですが在来工法のダンゴ張りの場合は
上向きで下から天井面に張り付けを微妙なセメント配合と
水分量の練り加減で表面張力を利用し上手く張り付ける事が出来ます。
壁面のように積み上げながらセメント粉を振りかけて
硬化促進させるのでは無く水分の表面張力を利用し
下地とタイルの素材に水分を吸いつける物理を用いた手法です。
アナログ技法ですが、とてもすばらしい工法が昔から有り
セメントを利かし過ぎると逆に離れやすく必ず落ちます。
左官仕上の軒裏や天井へのモルタル塗り付け仕上と同じで、
とても難しく、面白い施工内容で原理、原則と言えます。
次は一部モルタル接着するエプロン部分へと進みます。