前ページからの続きです。
棟付近の地瓦の葺き代が向こう側の片方は普通ですが、
こちら側は少なく不十分な納まりになっています。
屋根瓦を思いきり剥がして
明らかになる無理な納まり状態。
一階の棟違いで、この部分は客間の天井に雨洩り跡が広かった場所です。
これなら、あんな酷い雨洩り跡は当然です。
色々な雨洩りの原因が複合されていた和型スレート瓦の
無理な納まり実態です。
原因は棟付近の地瓦の葺き込み代不足と壁際の捨て谷不足と
防水紙の巻き上げ不足と地瓦の被り不足の4ヶ所の要因が
それぞれ絡み、その時の雨降り条件によって洩れます。
とても貴重な反面業者事例で我々にとってはとても大切な
事例を体感できる場面です。
しかし御客様にとっては、まった迷惑な話で
価値観は大きく異なります。
いよいよ雨洩り対策の施工を開始。
下図は撮影角度が悪かったために編集加工で
斜め端がカットされています。
特殊なルーフィングシートを先行敷きで取り付き壁面に
添わして巻き上げます。
表面にイボイボの突起が付いて工夫された
チャンピオンルーフと呼ばれる防水シート。
普通のベタシートなら、もし瓦が割れたり剥がれて雨水が吹き込んでも
瓦桟木でせき止められて
止めている釘穴から屋根裏に雨洩りします。
それをイボイボの突起により瓦桟木を僅かに浮かせて
侵入した雨水を軒先まで導き
途中漏れを解決した防水シートです。
もう1つの目的は屋根勾配が急傾斜の場合は
作業者の滑り止め対策にもなっています。
棟違い付近の野地板は下地不足で大きな穴が空いています。
本来は、この部分は上の野地板やタルキは切断して離し
下側の野地板を棟まで伸ばして上の被り下地を浮かせるのか?
・・が大工の下地納まりとしては選択が分かれる所。
その場合は当然ルーフィング下地も地瓦も棟まで葺き延ばし
下側の屋根納まりを伸ばして優先にします。
上側の野地板や瓦は切断して被せて浮かせて
下の地瓦に水を通し侵入して雨水を逃がすのが無難。
こんな下地の場合は今更タルキなどの切断は面倒なので、
改善のつもりで水仕舞の下地納まりを変化させます。
突き付けるなら、それなりのが防水対策の工夫が必要となります。
防水シートは強引に入れ込み敷き詰め、これだけでも
雨洩りは防げますが、さらに捨て谷板金を取り付けて
上部付近も完全に封鎖して雨洩り対策は完了。
これで屋根瓦の葺き替えが進められます。
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