勝手口のドア建具の建付け調整と天井張り替え時の場所から
白蟻被害の進行状況が鮮明になり
建物全体の影響が、明らかになった事例です。
単なる部分的な補修を切っ掛けに建物全体の被害予測が出来ます。
勝手口のドアで開け閉めが困難な解決対処からも関連が始まりました。
ドアの取付状態を調べていると・・柱の根本付近に大穴が・・
ネズミが、かじって出入りの為に開ける穴も、
このようになる事も有ります。
別の主な原因としては白蟻被害で食われた跡。
ネズミの出入りは最小限の大きさだけです。
木材の表面をカナズチでノックするように軽く打診してみると・・
ポコポコと空洞音と感触でハッキリと解ります。
これは明らかに白蟻被害です。
深さも、物が深く入り、かなり奥まで被害が及んでいます。
間取りの位置では浴室の隅の柱なので
シロアリ被害が多い場所です。
ここから上に向かって白蟻侵攻の恐れあり。
外部はモルタル外壁↓のヒビワレや浮きや剥がれなどは、
全く見られません。
そこで天井を張り替える予定の場所を剥がして構造物を調べると・・
勝手口から4mほど離れた場所でしたが二階との間になる胴差しと言われる
横架材の入隅に取り付けられた火打梁↓と呼ばれる構造材が食われています。
拡大します↓・・こんな感じです。
二階の畳下地と思われる床板が直接乗っています。
この状態から予測できるのは二階の畳本体にも白蟻被害が及んでいる
可能性は高いです。
問題は胴差と呼ばれる重要な横架材や隅の通し柱に影響が有るか?否か?です。
例によってカナズチで打診してみますと↓・・胴差部材は・・
右の端の方はアウトでした。
左側の胴差部材も端の方、約30㎝付近↓の内部は空洞です。
特に末端付近は半分以上内側は中が空っぽなので
カナズチの先を打ち付けると簡単に↓突き刺さります。
この建物は構造的に根本的な問題が有り簡単には治りません。
とりあえず火打梁の喰われた部分は下に
鋼製金物を抱かせて受ける程度で暫定処置。
二階の畳下地の小根太下地が落ちそうになっていたのは
この暫定処置で受けています。
そして念のために、まったく別の離れた場所で反対側の天井裏を調べると・・
やはり火打梁の構造物が↓白蟻被害に遭っていました。
白蟻の行きかう蟻道もはっきりあちこちに見えます。
これは最初に発見した勝手口と浴室の間にある柱の大穴から
4mほど離れた別な場所付近。
建物の構造物の一角がと言うより・・
六畳間ほどの一部屋部分は確実に被害が及んでいます。
問題は二階やその他の部分に拡大している恐れも十分に有ります。
白蟻被害は一階の床下程度ぐらいに思い込みがちですが・・
上部に至れば建物全体の信頼性や価値観は大きく左右されます。
特に勝手口の柱のように[踏み下げ]と呼ばれる
基礎の天場より下げた柱の納まりは注意。
※柱の踏み下げ納まりらしき部分はカナズチなどで叩いて空隙音を確かめて下さい。
怪しい空洞音や手応えがが有ればマイナスドライバーなどを柱や木材部分に
体重を掛けて思い切り突き刺して下さい。簡単に入ればアウトです。
石膏ボードなどは白蟻被害の空隙では無いので勘違いしないように注意!。
次の事例もお楽しみに。