かなり古い土塀の補修に関わった体験例です。
なぜ?大工が本職なのに、こんな事に手を出すのか?
自分でも解らない事が後では気付く事になります。
関わりの切っ掛けは土塀モルタル壁面の浮き剥がれの
対策から始まりました。
過去に左官屋さんが大規模補修した後に
何度か?メンテナンスはしているようです。
しかし、なんども剥がれては塗り直す繰り返しになっています。
古い民家では土塀が、まだ多く存在しておりますが今時、土ばかりで
元から作る事は少ない絶滅危惧の納まりかと思います。
土で本体を積み上げているだけか?中に石など骨格が有るのか?
中の構造は不明です。
最近の台風被害で土塀が倒壊した現場を見ましたが、
それは土と一部グリ石の積み上げだけでした。
長年持ち応えているのは土だけでは持たないはずなので
色々な工夫が隠されているとは思います。
表面上の補修は何度か関わった事がありますが、
とてもアナログ納まりの築造物かと思います。
土が基本ですし納まりがシンプルです。
土に直塗りしたモルタルは歪みや極端な負荷が掛かれば
徐々に剥がれます。
モルタルのセメント配合が強過ぎれば硬い強度は有りますが
収縮で歪みひび割れしたり反り返ったりします。
セメント配合が弱ければ、変形せず安定しますが脆くて
防水効果が弱くなります。
表面に防水塗装したりシックイ仕上などを、すれば
長持ちしますが、この現場では、していません。
よって自然に外壁モルタルには雨水などが浸透し湿気と
乾燥が繰り返され冬場は浸透した水分が凍結すれば膨張し
土とモルタルが剥がれやすくなります。
そこへ水分が溜まり再び凍結すれば徐々に外へ押し出され
大きく反ったり剥がれます。
雨水の侵入は外壁その物と屋根の防水不良から
浸透する場合もあります。
色々と状況を見ると、この現場では上からの雨水の切れが悪く
外壁に浸透が主な原因なのに単に壁面だけ塗り替え補修した為に
何度も同じ結果を繰り返しているようです。
よって壁面補修の前に土塀屋根瓦の現状を調べて、
そちらから先に着手する事にしました。
現状の屋根瓦は、かなり荒れています。
ヘタに手を付けると大変な事になる恐れがあります。
※余談ですが
普通は、この瓦の状態を見れば・・ほとんど業者は辞退するか?
断りたい意味で文化財保護予算ほどを提示する業者が居るかも?です。
私も当然・・お断り・・ご辞退の方向に傾きながら現場の瓦を
一部剥して見たり手を付けながら判断に迷いながらも居続けると
時間と共に古い素材が語り掛けてくる気がするのです。
(やめときなさいよ!。)
(貴方ごときの十分な年季を積んでいない者が!)
(今まで関わってきた業者でも最後まで面倒見れなかった!)
(貴方に、この現場は無理!!)
・・と嘲笑っていられているような気がして来るんです(笑)
それなら未知の領域を見せて下さい!・・教えて下さい!
・・と願うつもりで関わらさせて貰う事にしました。
かなりオソマツな独演舞台に↑なってます。(^_^;)
※本題に戻ります。
未知の領域に挑むのは・・ほとんど興味本位です。
事業的には採算性は無視した方向が強いのでリスク大。
補修予算は最低限の内容で暫定的な簡易処置で
耐久性は問わない条件でならと手を付けます。
本格的に治すならねかなりの高額予算など、
とてつもない工事費となり御客様はビックリでしょう。
それでも耐久性には責任、持ちかねます。
むしろ予算は出すから本格的に直してと言われると・・
本手を探し、関わってくれるか?否か?で逆に困ります。
本格的な再生や修理ではなく応急処置的な内容の予定で
合意となり着手となりました。
ここからは発掘調査のような作業と臨時処置で
仮設納まりのつもりで実施となります。
楽しみは・・今までに関わった業者は・・
何処を見落としていたのか?
貴重な半面業者の失敗の素を発見、入手できるのか?
ミイラ取りがミイラになってしまうのか?
・・の発掘調査となります。
次に進みます。