前ページからの続きです。
いよいよ、施工に掛かります。
その前に瓦葺きの屋根上作業では色々な現象がありますので、
すでに御存じかと思いますが少し余談として紹介してみます。
瓦葺き屋根の上で立つ時は図のように瓦の重ね代を踏むのが
割れにくいのは御承知の通りかと思います。
下図は編集加工で斜め端がカットされています。
この部分を直踏みしている時と長い昇り桟橋や歩み板の表面に
足を置いている時は疲労度が明らかに違います。
図のように傾斜勾配が同じ屋根なのに部分的には
屋根勾配が二種類有ります。
①瓦の一枚ごとの表面上の傾斜角度と
②屋根全体の傾斜角度はかなり差があります。
これだけの違いにより疲労度も違うし、
物を置いた時の滑り条件が違います。
標準的な屋根勾配として四寸と呼ばれる勾配があります。
この現場もそうです。
40/100で表示される傾斜角度です。
水平1mに対して片方が40㎝上り下がりする傾斜角度です。
例えば小さな角材など瓦一枚の上に乗る程度の
小さな物なら置いても直ぐには滑りません。
それとは別な2~3mの長い角材を流れ方向に仮に置くと・・
案外、滑り落ちやすくなります。
長くて安定するはずなのになぜ滑り落ちやすいのかは
図のような角度の違いがあるからだです。
屋根葺き材料の厚みと働き寸法によって、
その角度の差は大きく変わります。
薄くて働き寸法が長いほど、その差は小さくなります。
厚い物で働き寸法が短いほど角度差はどんどん大きくなります。
有る程度の寸法条件になると水平に近くなり
雨洩りしやすくなります。
瓦は厚くすると割れにくくなりますが、
重くなり作業性も悪くなり重心が上に集まり
耐震的にも悪くなります。
そして屋根勾配が戻り水捌けも悪くなり雨洩りしやすくなり
薄くすると作業性や傾斜角度は有利ですが割れやすい。
やはり一長一短あるようです。
余談はこの辺で終え
次のページでは具体的な施工に入ります。