前ページからの続きです。
古い波トタン板がボロボロに錆びたのを剥がして、
いよいよ張り直しです。
当然、今度は錆びない樹脂系の波板を
選択しました。当然のように。
勾配が緩いので樹脂系波板は波トタン板よりは
硬性が劣りダレ下がりが気になりますが
幸い野地板が下に有るので垂れ下がる心配は有りません。
御客様の御要望では、なるべく安い仕上げで、との事です。
施工当時は、まだポリカーボネート波板が高額で
主流はFRP波板かガラスネット入り硬質塩ビ波板が
一般的でした。
一番安く、普及率がまだ多かった最安値の
塩ビ波板を低コスト目的で使用しました。
防水紙のフェルトも下敷き張りも、していますので
雨洩りの心配は少ないです。
何にも不安を感じずに順調に塩ビ波板で張替。
さすがに笠釘は塩ビ製の安物では、すぐ劣化して
笠がボロボロになるのでステン笠釘にしました。
張り始めの要点としては波板の位置と張り終わりの
ラインに合う角度にする事が重要です。
張り始めから張り終わりまでの軒先ラインが
一致していなければガタガタ張りとなります。
そして重なり代は最低、一山半以上として
アルミテラス屋根のように被りになる横枠が無ければ
端は波の形状が雨水の滴りをすんなり落とすために
普通は下がり勝手にします。
波板の端が下向きでないと雨水が切れにくく、
さらに横風を受けると捲れ剥がれやすくなります。
全体を仮張りして納まりが良ければ釘仕舞い、するのが安全です。
こんな波板張りに限らずなんの職種、どんな工程でも言える事ですが
偶然、問題なく終える時と、いつかは曖昧さが通用せず
ボロが出て大恥をかく時が有ります。
基本要領として例えば次の図のように
御決まりパターンがあります。
目の前に見えやすい波板の長辺ばかり躯体との、
あき寸法を意識し過ぎて屋根全体の長辺ラインを無視した
最初の張り始め角度を決定してしまう判断ミスが多いです。
建物は必ず正確な直角や直線または同じあき寸法ばかりで
形作りされているとは限りません。
そのまま張り続けると途中で気が付きますが
修正できなくなりガタガタ張りになるケースは多いです。
素人さんならまだしも・・現場経験の方でも成り行き主義で
張った結果、こうなる方も結構居られました。
経験者の方でも見えにくい先の予測を読み誤り、
こうなるとクレームになり大問題となります。
理想のラインや角度が決まれば釘のピッチ本数は
二尺巾(約60㎝)の波板なら標準納まりでは
継ぎ手と中、三本がカサ釘では一般的です。
仕上がりはこんな感じとなります。
強風で飛ばされやすい恐れがあるなら
中、四本打ちに増やします。
上部に見える古い雨押さえ水切り板金が
広過ぎる感じですが狭い巾よりは雨の吹き込みが
ふさがれ易く取替えの必要も無く現況のまま納めました。
以上で波板張替の結論です!
・・と、言いたい所だったのですが・・
何年か経った後日談として
最初に剥がした古トタンの使用年数の四分の一も満たない
短期間に衝撃の結果を知る事となりました。
次のページは・・
その後日談でオソマツ記録の披露となります。(^_^;)